【実話怪談】住職さんの恐怖・・・ッ!

住職 怪談

画像:ウィキペディア

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父の実家は滋賀県の山間部にある町にあります。昔は夏休みにはよく遊びに行っていたのですが、今は祖父母も亡くなり遊びに行く機会も減りました。

村にある唯一のコンビニは夜の11時閉まるような田舎で、父の若い頃は他の町へ遊びに行くには自転車で数時間かけて山を越えて行かないといけないような状況だったそうです。

私が生まれる前に亡くなられたのですが、そんな村のお寺の住職さんは、冠婚葬祭だけでなく村人同士の揉め事の仲裁役もしていたりしたそうです。

父によると、温厚なおじいさんという聖職者のイメージとは程遠いヤクザの親分のような強面の人で、日露戦争だか日中戦争だかで活躍して勲章をもらうような豪傑だったそうです。

この話は、その住職さんが、「ワシは人間も幽霊も何も怖いものはないけれど、一度だけとても恐ろしくて目を閉じてしまったことがある」と父や父の友人達に語ってくれた話だそうです。

ある日、村で女の人が首を吊って死んでいるのが見つかりました。自殺でした。

原因ははっきりしています。彼女は妊娠していたのに恋人だった男から捨てられ、酷く塞ぎこんでいたことは田舎の村ですのでみんな知っていました。

彼女は住職さんが弔ったのですが、恨みが強くて成仏することなく、以来彼女が首を吊った家に入った人には不幸が続き、また夜中に赤ん坊の泣き声がするとか、誰もいないのに足音がするといって誰も借り手がつかない状況でした。

村の人から相談された住職さんはなんとか成仏させようと念仏を唱えたり護摩を焚いたりしたそうですが、あまりに強い恨みに手がつけられず、ついに村の人とも相談して、そもそも悪いのは彼女を捨てたあの男じゃないか、こうなったら彼女に本懐を遂げさせてしまおうという方針になったそうです。

彼女を捨てた男は町(車で一時間以上かかる)で、定職にもつかずフラフラと暮らしていた男は殆どタダみたいな額で住む場所が借りられると聞いて喜んで話に飛びつきました。もちろん、幽霊の話は伏せてあります。

しかし、住み始めてからしばらく経っても、一向に何が起こったとか、怪我をしたとか不幸も何もありませんでした。

あれだけの怨念を持っていたのになぜと不思議に思い、住職さんは理由をつけて一晩、家に泊まってみることにしました。

夜、気配を感じたので男が寝ている部屋の障子を開けてみると、そこには確かに寝ている男の胸の上に座り、赤子を抱きかかえ、凄まじい形相で男を睨む女の幽霊がいました。

男はそれに気がつくことも無く、気持ちよさそうにイビキを立てていました。その光景が、最も恐ろしかったと住職さんは父に言ったそうです。

住職さんが言うには、幽霊がたたるには相手が、怖いなとか恨まれているんだろうなとか、死者に対する畏れを感じている必要があるそうです。

関係のない村の人でさえ女の無念を畏れているのに、我が子ごと自殺させた男にとって、彼女の存在は何も心に残っていないのです。

だから彼女はどれだけ恨んでも男に手出しができない、その無常さが恐ろしくて、住職さんは目を瞑りはじめて恐怖を感じながら仏の加護を祈ったそうです。
 
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