【実話怪談】城跡巡り…

城跡巡り 実話怪談 オカルト

画像:tajima.or.jp

スポンサーリンク
あれはまだ私の足腰が強かった頃の話。

今80代の私がもう少し若い頃の話だ。

長年勤めた大手保険会社を退職した後、昔の馴染みと城跡巡りをするのが私の老後の楽しみであった。

馴染みは皆大学時代の歴史研究サークルの仲間で、私と同じく大手企業を勤め上げ老後を満喫していた。お金にもいくばくかの余裕があり、3、4人と集まっては日本各地の城を巡る。その楽しさといったら、あの日の青春を思い出すかのようだった。

お盆の蒸し暑い日。

私(小泉)と、友人の山田、野村で全国的にも知られていない山城へ出掛けることになった。

そこはかつてあの秀吉だったか信長だったかに、兵糧攻め(場内の食糧が尽きるのを待つ)され落ちたといわれる城であった。名前がはっきりしないなんて、歴史研究サークルも形無しである。

最寄りの駅から城への登城口へは徒歩約40分。

なにせ真夏である、ムシムシと暑いが仕方がない。歩くことにする。

何でもない昔話をしているとあっという間に到着した。

朝早くから出ていたので、お昼まではまだ少し時間がある。登城口からこれまた約40分かけ、頂上を目指す。

頂上に着くと木のベンチと簡単な説明版、そして壊れた石垣があった。

到着するや否や私たちは小便をするため、少し藪がある方に向かった。男はどこでもすぐにできる、楽なものである。

その時私は、自身の小便の行く先に石の塔を見つけた。しかし、特に気にするでもなくその場を後にした。

その後昼食を食べ、近くを各々散策することになった。

登山でバテた山田はベンチで昼寝。野村は山の尾根を切るように作られた、堀切を探しに行った。私は石垣の見物だ。私たちは一緒に城跡に来ても、やりたいことは昔から別だった。

それから約1時間半が過ぎた。

「ふぁー、よく寝たな」

「お前昔からそれだよな…」

昼寝から目覚めた山田は私と石垣を見始めた。どこ産の石だとか、いつの時代に積まれたものだとかを討論するのだ。

それにしても野村は一向に戻ってくる気配がしない。そんなに遠くに行ったはずはないのだが…。

仕方なく私と山田で探しに行くことにした。早く下らないと陽も落ちてしまう。山は木が茂っているので、登山道はすぐに真っ暗だ。

10分ほど登山道を下りたところで山田の帽子が落ちているのを発見した…。

「あっ、この辺じゃないか?」

「おーい、山田?おーい」野村の声はよく通る。

私はすぐ近くの藪を探る。その瞬間

「あぁっ!」

ズザザザザー!

「おい小泉―!」

藪をかき分けた先はどうやら切堀であったらしい。約5、6mほどの坂を私は一気に転げ落ちてしまった。

「ッ痛―!お、おい…、の、野村!」

「こ、小泉…」

私が起き上がると、そこには太ももを血で染めた野村が居た。

堀切の下には、突き立った竹の切り株がそこらじゅうにあった。落とし穴の下に杭を打ち、獣を突き殺すが如く鋭い竹…。野村は転げ落ちた時にこの竹に刺さったようだ。太ももだけで良かった…。

そしてその近くには、山頂で小便をした時に見つけた同じ石塔らしきものも…。よくよく考えればこれは戦没者の供養塔ではないのか…。

私たちは己が犯した過ちを悟った。

 
スポンサーリンク
スポンサーリンク