【実話怪談】信号待ち(車)

信号待ち(車) 実話怪談 オカルト

画像:yanodensetu.co

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昔から憧れていた車の免許。

地元で昔からヤンチャをしていた俺は、18歳でついに大人への新しい切符を手にした。

上手く運転できないくせに、ゴツくてイカついワンボックスを買った。

毎日夜な夜な馴染みの友達を乗せ、音楽を大音量でかけながら車も人気も少ない、ド田舎の地元の道路を突っ走るのが日課だった。
    
俺達がよく使うのはスピードの出しやすい両側田んぼの直線ルート。

しかし、そこには謎の信号と歩道があった。周りに家や店もなく何のためにあるのかは謎だ。

でもそこで俺は毎回しっかり信号待ちをする。どれだけヤンチャをしようとそれだけは俺のポリシーだった。

俺は今から10年前、つまり俺が8歳の頃に4つ下の妹Yを亡くしていた。

交通事故だった。信号無視をしたどこかのおっさんが妹をはねてしまった…。

それから親父とおふくろは、どこか心の奥底に闇を抱えているようで、家族連れを見かけると浮かない表情をするようになった。

そのせいかどれだけ俺はヤンチャをしようと、両親が心配で地元を離れられないでいた。

でも俺にだって鬱憤は溜まる。その鬱憤を晴らすため毎日ドライブをするのだった。

俺はこの暗い過去を周りの友達には隠していた。

冬の寒いある日。

その日は友達の友達Aも含め、7人でドライブをすることになった。その内の1人は俺が全く知らないやつだったが、相当のワルで有名らしい。体格も大きく、顔もこわもて。待ち合わせ
場所で一目見た時、

(あ、こいつヤバいやつだ)

俺はそう思った。

その時俺は愛車のワンボックスで来ていたため、自然とドライブに使われるのは俺の車だった。他の奴は改造した小さな軽自動車ばかりだったから。

Aが言った。

「なぁ、お前のそのデッケェの乗らせてくれや」

「は、はっ…?いや、それはちょっとなぁ…」

俺はもう完全にビビっていた。

そのままなし崩し的な形で俺はキーをAに渡し、自分は助手席に乗り込んだ。

走り始めるとAはどんどんスピードを上げていく。

「おい、さすがに…」

「うっせぇ!ええな、この車スピード出るなぁ!ふぅー!」

「楽しい!ひゃっふー!」

後ろの座席のやつらも楽しそうだった…。

そのまま例の直線道にさしかかった。

前方120mほど先にあの謎の信号が見える。表示は赤だった。

「おい!止まれよ!赤だぞ!」

「はぁ?ここ誰もおらんからいけるやろ、突っ切ったるわドアホ(笑)」

80m…

60m…

40m…

そこで俺は信号に居る小さな存在2つに気付いた。子どもだった。

「Y!」

歩道に居るのは死んだはずの妹のようだった。なんで…、どうして…?

そしてもう1人は中学生くらいの男の子が歩道手前で信号待ちをしているように見えた。Yが生きていたらこれくらいだっただろう。

「おい!A!見えないのか?!ブレーキ!」

「は、なんも見え…わっ!」

残り15m地点で男の子は歩道に飛び出した。その瞬間Aは急ブレーキをかけ、急ハンドルを切った。が、止まれるわけもなく、ほぼそのまま突っ切った。女の子は助からないと思った…。

車はそのまま田んぼへ。

急いで車から下り、信号を振り返る。

と、そこに女の子はおらず、転んで擦りむいた中学生の男の子が居ただけだった…。

妹からの戒めだと俺は思った…。それ以来俺は夜のドライブをやめ、Aを含め悪い友達との付き合いを絶った。
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