【実話怪談】信号待ち(歩行者)

信号待ち(歩行者) 実話怪談 オカルト

画像:naj-nasso.cocolog-nifty.com

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あれから10年。

僕の人生を大きく変えた出来事から10年が経ったのだ。

今中学2年の僕の10年前というと、4歳の頃だ。

記憶があるだのないだのと言われる年頃ではあるが、当時の僕にとっては非常に大きな出来事だった。そして、その深い傷を癒すことができないまま、ここまできてしまった。

僕は近所のYという女の子とよく遊んでいた。

お互いの家が近所であったため、気付いた頃には一緒に遊んでいた感じだった。

おままごとをしたり、原っぱで虫を捕まえたり、些細なことでも思いっ切り楽しめたんだ。

幼いながらに僕はYに恋をしていた。

もちろん、まだ4歳の頃に恋愛何かはわかっちゃいない。今の僕の年代が抱くような恋心とはまた別物だったと思う。

「将来Yちゃんのお婿さんになる!」

といった小さな子によくあるやつだった。

ある日、僕はYちゃんと田んぼに出かけた。その日はおたまじゃくしを捕まえに行く約束だったんだ。
 
画像:dic.nicovideo.jp


田んぼ沿いには長い直線道路が走り、その途中に何のためにあるのかわからない信号が1つだけある。子どもだけで道路に行くなとお父さんから言われていた。

でも、おたまじゃくしを捕まえたいという魅力が勝った。田んぼに着いた頃には、お父さんの言いつけなど忘れていた。

「やった!大きなおたまじゃくしだ!」

「本当だねー、Yちゃん捕まえるの上手いよ!」

そう言って2時間くらい遊んでいた。

やがて飽きた僕らは、すぐそばの信号を渡ることにした。小学生まであと2年。早くランドセルを背負って登校したかったから、練習をすることにしたんだ。
 
画像:wikimapia.org

押しボタンを押して、歩行者用の信号を青にする。僕がまず向こう側へ渡る。

やがて信号は赤になる。

「次は私が渡るからねー!見ててよー♪」

笑いながらYちゃんは押しボタンを押す。信号が変わり、Yちゃんが渡り始める。

その時、少し遠くからトラックがやってきた。

「Yちゃーん、車来たよー!早く渡ってきなよー」

「大丈夫だよ、私達の信号が青だから止まるよ♪」

そう言ってYちゃんは、けんけんぱをしながらゆっくり信号を渡ってくる。

しかし、車は一向に減速しない。

(え、どうして…?僕たちが青なのに、どうしてあの車は信号待ちしないの…?)

そしてそのまま…、

バーンッ!

Yちゃんは亡くなった。

それから10年だ。

中学生になった僕は、塾の終わりにその信号にぶらりと散歩しに行ってしまう。

そこに行けばYちゃんに会えるような気がしたから。

暗い信号待ち。今の季節は冬。

Yちゃんがもしまだここに居たら…。どんなに寒くて怖いのだろう。

それを想うと僕はいつも泣いてしまう。そしてその歩道を渡れないまま、いつもその場を後にしていた。でも今日はなぜか渡ろうと思った。

押しボタンを押してみる。

するとその向こう側に現れたのは…

「Yちゃん!」

何も変わっていなかった。

あの時と同じようにけんけんぱをしながら渡ってくる。

ドゥンドゥンドゥン…。

その時、遠くから大音量の車がやってきた…。車の信号は赤のはず。なのに、止まってくれない。

だめだ、このままじゃまたYちゃんが…。ダメなんだ…!

僕がYちゃんを助けに飛び出そうとしたその時、

ドンッ!

キキーッ!

体を押された僕は何とか車道に出ることを免れた。Yちゃんが助けてくれたらしい。

車は田んぼに突っ込んだ。

その助手席から現れた悪そうな集団の中に、Yちゃんのお兄さんが居た。

お兄さんとも昔からよく遊んでいたが、Yちゃんが亡くなってからは会っていなかった。地元で走り屋をしていると噂で聞いていた。

お兄さんは、擦り傷程度のケガで済んだ僕を見るや否や、泣きながらきつく抱き締めてきた。

「Yがっ!Yがぁっ…」

お兄さんにも見えていたらしい…。
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