いつかあなたも迷い込むかも!?幻想の家「迷い家」の不思議!!

迷い家 柳田國男 遠野物語
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怪談
画像: Alexandra Wolowelsky on flickr
迷い家(マヨイガ、マヨヒガ)は、関東や東北に伝わる伝承です。民俗学者である柳田國男が、著作「遠野物語」の中で紹介したことで世間に知られるようになりました。

都市伝説ともおとぎ話ともつかない不思議な存在ですが、そのミステリアスな魅力により、多くの創作の題材にされています。ここでは、迷い家とは何かを紹介します。

迷い家

遠野物語によれば、迷い家は山中の奥深くにある謎の一軒家のことです。どこにあるかはわからず、道に迷った者だけが偶然たどり着くとされています。場違いとしかいいようのない大きな家で、紅白の花が咲き乱れ、鶏や牛を飼っています。中に入ると、食事の用意がしてあり鉄瓶が煮えたぎったりしているのに、人の気配はまったくありません。

伝承によると、迷い家を訪れた者は、この無人の家にある品物を1つだけ持ち出すことができるとされています。さらに、その品物の力で大きな富を授かることができますが、迷い家を訪れることは二度とできないのだそうです。

幸運を逃す

遠野物語には、迷い家に関する逸話が2編収録されています。第1の逸話は、貧しい家の女性がフキを採りに山奥へ入ったところ、迷い家にたどり着くというものです。女性は何も手を付けずに逃げ帰りますが、後日川で美しい赤い碗を拾います。雑穀を量る道具としてその碗を使ってみると、何度取り出してもお櫃の中の雑穀が減らなくなったのです。

やがて女性の家には幸運が舞い込み、村一番の金持ちになります。女性が無欲で、迷い家から何も盗まなかったので、不思議な碗が自ら流れてきたのだと締めくくられています。品物を持ち出しても持ち出さなくても、同じ結末になったということです。

第2の逸話では、まったく逆の話が描かれます。一度迷い家を訪れた人が、後日仲間を連れて山中に入るのですが、ついに迷い家を見つけることはできなかったというものです。しかも、その後はあらゆる幸運を逃してしまう運命に陥ったのでした。

戒めの逸話

迷い家の逸話は、遠野物語に収録されたもの以外にも多くの派生系がありますが、基本的な設定はすべて共通しています。結局、迷い家とは何だったのでしょうか。

遠野物語によれば、迷い家は岩手県遠野市の山中にあるとされており、具体的な地名や迷い家までの地図も記載されています。しかし、現実にはそれらしい屋敷や跡地などは発見されていません。異世界への入り口が山中にあるのではないかという説もあります。

また、「無欲な人間が幸運を授かり、欲深い人間が悲惨な目にあう」という展開は、花咲かじいさんや舌切雀といったおとぎ話でもよく見られます。迷い家の逸話も、慎み深く生きるよう戒めるために生み出されたのかもしれません。

迷い家の逸話は、今後も形を変えつつ語り継がれていくことでしょう。もしかすると、山中で迷った時に謎の屋敷を見つけることができるかもしれません。その時は、欲深く大量の品物を持ち帰ったり、再び迷い家を探したりしないようにしてください。

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