『猿の惑星』を今一度振り返る!!映画に隠されたメッセージとは!?

映画 猿の惑星 聖戦記 リブート版 ピエール・ブール
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2017/09/14
都市伝説
最新映画『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』が2017年10月13日に日本で公開されます。『猿の惑星』シリーズは、最新作を含めてこれまで9作品が映画化されました。『猿の惑星』は、第1作の映画公開(1968年)から約半世紀近く経っても衰えない人気シリーズです。

はじめ『猿の惑星』シリーズは全5作品が制作されました。その後、2001年にティム・バートン監督によるリメイク作『PLANET OF THE APES/猿の惑星』が制作されます。そして2011年にリブート版として新たなシリーズがスタートします。(第1作からのシリーズ全5作は「前シリーズ」、新たなシリーズを「新シリーズ」と明記します)

リブート版

リブート版とは、これまでの関連性を捨て、前作を参考に作り直すことを言います。猿の惑星でも、前シリーズ5作の設定・コンセプトはそのままに新たなシリーズとして制作されています。最新作『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』は新シリーズの3作目となります。

リブート版とはいえ、これまでの『猿の惑星』と全く関連しないというわけではありません。前シリーズを踏襲しているため関連する部分もあります。今回の最新作も1968年の第1作に繋がる重要な転換点とされています。

新シリーズをより深く理解できるように、ここで第1作を振り返って見ることにします。すると『猿の惑星』が半世紀近くも人気の理由がわかるのではないでしょうか。『猿の惑星』に隠されたメッセージを解き明かしていきます。

『猿の惑星』

第1作の『猿の惑星』は、日本をはじめ世界で興行収入的に成功した作品です。それは猿が人間を支配するというセンセーショナルな設定とラストの内容に大きな話題を呼んだからです。まずは第1作のあらすじを振り返っていきます。(ネタバレは避けます)

地球人の宇宙飛行士テイラーは、ある惑星に辿り着きます。そこは猿が支配する惑星で、人間は下等動物として扱われていました。テイラーは猿に捕らえられますが、猿のコーネリアス、ジーラ、ザイアス博士の尽力により自由の身となります。しかし、テイラーに待っていたのは驚愕の真実でした。

都市伝説

映画『猿の惑星』を知る人は多いと思いますが、元々はSF小説です。著者はフランスのピエール・ブールという作家です。ピエール・ブールが『猿の惑星』を書くキッカケとなったのは、戦時中のある経験が元になっていると言われています。

当時の白人社会では有色人種は差別の対象とされていました。自分たちより劣った生物として有色人種を下に見ていた白人たちは少なくありませんでした。日本人も同じように見られていました。現代では考えられませんが、当時はそのような差別意識が白人社会にあったそうです。

ピエール・ブールは戦時中、運悪く日本軍の捕虜となります。自身が見下していた相手に粗末に扱われるということは苦痛でしかありません。この自分たち白人と有色人種(日本人)の立場が逆転した世界が『猿の惑星』の元とされています。

『猿の惑星』では、猿が人間を支配する社会です。猿=有色人種(日本人)、人間=白人と考えることもできるのではないかと言われています。ただし、これはあくまで都市伝説です。ピエール・ブール本人は日本軍の捕虜となった経験はなく、日本軍を猿に見立てて描いたという説に言及はしていません。

アンチテーゼ


出典:Zach Chisholm on flickr

ピエール・ブールが、日本人を猿に見立てて『猿の惑星』を描いたかはわかりません。しかし、当時の差別意識の強かった白人社会(欧米諸国)に対して皮肉を込めているようには見えます。白人と有色人種の逆転した『猿の惑星』の世界は、人種差別のアンチテーゼ(否定の主張)といえるのではないでしょうか。

映画『猿の惑星』の前シリーズには、当時の時代が抱える深刻な問題をテーマにしています。それは『猿の惑星』シリーズすべてに見られます。映画第1作目『猿の惑星』はアメリカとソ連の冷戦の果てがテーマとも言われています。

第2作目『続・猿の惑星』(1970年)は、激化するベトナム戦争を題材に描かれています。また反戦のメッセージでもあります。映画では、核兵器の場面があります。核の恐ろしさを伝えたわけです。

第3作目『新・猿の惑星』(1971年)は、人間が支配する社会に猿のコーネリアスとジーラが辿り着くという物語です。第1作目の『猿の惑星』の設定を反転させたような世界です。この映画では、従来の人種差別のテーマがよりはっきり表されています。

第4作目『猿の惑星・征服』(1972年)は、差別解消の公民権運動がテーマです。60年代からアメリカの黒人に対する公民権の適用と差別解消を求める運動が激化します。劇中で、猿は人間のペット(奴隷)という立場になります。奴隷となった猿たちは人間に対して反乱を起こします。

そして、第5作目『最後の猿の惑星』(1973年)は、地球の支配者が人間から猿へと移り変わった世界を描いています。最後の映画は、人類の未来をテーマにしています。それは、虐げる者と虐げられる者の最終的な結末でもあります。

まとめ

『猿の惑星』の前シリーズは、戦争と人種差別がもたらす人類の悲劇を描いています。時代が抱える問題を浮き彫りにした『猿の惑星』は、反戦と差別解消をメッセージとして投げ掛けているのでしょう。

リブート版『猿の惑星』新シリーズが2011年からスタートしました。今回も現代人が直面している新たな問題を映し出しています。猿と人間の争いは、価値観の違う人間同士の争いとして描いているように思われます。

それぞれの価値観の違う人間同士のいがみ合いは必ず悲劇を生みます。『猿の惑星』新シリーズは、そんなメッセージを現代人に宛てているのではないでしょうか。