世界遺産シーギリヤ!天空の宮殿から地上を見下ろす王の狂気

世界遺産 シーギリヤ シーギリヤ・レディ カッサパ1世 スリランカ
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2018/05/02
トリビア
スリランカの中部の都市マータレーには、世界遺産にも登録されているシーギリヤの遺跡があります。シーギリヤは、ジャングルの中にそびえ立った巨大な岩シーギリヤロックの上に建造されています。地上の者を寄せ付けない圧倒的な迫力から、天空に構える宮殿のようにも見えます。

まるで人間業とは思えない造りですが、このシーギリヤが岩山の上に建設されなければならない理由がありました。それは自分を殺しに来るかもしれない義弟の恐怖から、王は7年の歳月をかけてシーギリヤを建造します。

今回は恐怖に狂った王の奇行が造り上げたシーギリヤを紹介します。

シーギリヤ

シーギリヤはシーギリヤロックの山頂に建造された宮殿です。シーギリヤロックは、マグマが地中から噴出して固まってできた断崖絶壁の岩山です。形状は楕円柱で、高さは約180メートルあります。誰も寄せ付けないように設計させたのは、カッサパ1世です。

カッサパ1世とは、5世紀頃にこの地域一帯を支配していた王です。彼には腹違いの義弟モッツガラーナがいました。カッサパ1世の母は平民でしたが、モッツガラーナの母は王族の出身でした。つまり、カッサパ1世は兄でありながら王位継承権は無いことになります。

血筋のしっかりしている母親を持つ義弟モッツガラーナが王に就けは自分の立場は危うくなります。そこで、カッサパ1世は権力のある父を殺し、自らの力を示す形で王の座を射止めたのです。義弟モッツガラーナも殺そうとしますが、暗殺計画が漏れてしまい、軍を率いて逃げられてしまいます。

邪魔者がいなくなっても不安を拭うことはできませんでした。モッツガラーナの報復を恐れたからです。そこで、カッサパ1世はジャングルに囲まれ、絶対に襲われないであろう岩山の頂上に隠れ住むことにしたのです。これが、シーギリヤの宮殿となります。

シーギリヤ・レディ

シーギリヤは7年の歳月をかけて建造されました。その造りはしっかりしたもので、立派な宮殿から庭園、水路や貯蔵庫まで完備されており、岩山の頂上に造られた都市とは思えないほどです。またシーギリヤロックの洞窟内には、奇妙な壁画が描かれています。それは、女性たちの裸の半身画です。

この女性たちの裸を描いた壁画は、シーギリヤ・レディと呼べています。現在では、着衣や派手な装飾品で着飾ったり、裸身の女性が18体残されています。当初は500体にものぼる女性たちが描かれていたようですが、時代の風化により消えていったようです。

描かれた女性たちは、派手な飾りを耳や首、腕に施されており、また色鮮やかな服装を身にまとう者もいます。妖しい表情の女性たちですが、これは山頂に立てこもったカッサパ1世の指示によるものと言われています。この500体の女性たちの壁画には彼を癒す意味があったともいわれています。

残念ながら壁画に関する詳しい理由はわかっていません。しかし、いつ自分の命を狙いに来るかもわからない極限状態で、カッサパ1世は壁画に救いを求めたのではないでしょうか。誰も信用できず、精神的に追い詰められた彼にとって、壁画が唯一の癒しだったのかもしれません。
 
出典:Sachitha Obeysekara on flickr

カッサパ1世の死

カッサパ1世が王位に就いた18年後に、義弟モッツガラーナがシーギリヤの宮殿に大軍を率いてやってきました。打つ手ないしとわかると、カッサパ1世は自ら喉を引き裂いて自害します。カッサパ1世最期をシーギリヤ・レディたちが見守っていたことでしょう。

その後、シーギリヤの宮殿は、王家から手放され、僧院となります。シーギリヤは僧院としての役目を負いますが、長くは続かなかったようです。これは自ら死を選んだ彼の怨念が原因なのでしょうか。

カッサパ1世は、自分が愛した18体のシーギリヤ・レディと共に、今もシーギリヤの遺跡に棲みついているのかもしれません。

参考サイト:
シギリヤレディ