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2018/08/06
実話怪談
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  • 【実話怪談】学校で噂される怪談「倉庫裏の壁のシミ」

事故 幽霊 学校 生首
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倉庫裏のシミは、まるで人間の頭部を表したように浮き出ていました。上部は、細い線が四方八方に飛び散って、まるでぼさぼさの髪の毛のようでした。そこから下に続くシミは、人間の顔の輪郭線を柔和に表れています。そして目、鼻、口の部分は、より濃いシミで描かれ、耳や首部分も正確に浮き出ていました。

彼はこの奇妙なシミを私に見せたかったようです。数年前にこの近くの山で、車を運転していた人間がガードレールに激突し、死亡する事故がありました。その時、運転手の身体が前方に投げ出され、ガードレールに運転手の頭部が引っ掛かって切断されるという不運が起こります。

事故現場からは、頭部が切断された首無しの遺体が発見されましたが、運転手の頭部は未だに発見されいません。その事故現場が、小学校の真裏にあり、私が今立っている倉庫から数十メートル先の山の上だったのです。今は草木に覆われて見えませんが、大人なら見上げた先に、破壊されたガードレール跡が見えるようです。

運転手の頭部は衝突の勢いで学校まで飛んだという噂が広まりました。警察が校庭内を捜査しますが、発見されません。しばらくしてから、校庭の倉庫裏に人間の頭部らしきシミが浮き出るようになります。学校側は誰かのイタズラと思って消そうとしますが、未だにそのままの状態で放置しているというわけです。

気味の悪い話ですが、これが今学校で一番話題となっている、と彼は言います。

数日後、私は放課後ひとりで遊んでいました。クラスのリーダーたちと一緒に遊んではいたのですが、家庭内が冷え切っている我が家に帰るのが億劫になり、しばらく校庭で時間を潰していました。

日も暮れかった頃、そろそろ帰ろうかと思ったときです。誰かに呼ばれているような感じを受けます。辺りには先生方もおらず、私一人が校庭内で取り残されていました。しかし、どこからともなく誰かの声が聴こえてくることは間違いありませんでした。

振り返ると校舎の陰から大人の男の声が聞こえます。身体をすっぽり校舎の端に隠していますが、影だけは見えていました。私は男の方に近づくとその男は静かに語り始めました。どうも嫌な雰囲気が辺りに立ち込めていました。

「ボク、教エテクレナイカ」

その時、全身に恐怖が襲い掛かりました。私は気付きました、その影には肩から上がなく、両手両足だけが奇妙に動いていました。私は目の錯覚とも思って冷静になるよう試みます。

「探シ物ガミツカラナイ」

私は答えます。

「何を?」

男は物陰から出て、全身を私の前に現します。

「首ガミツカラナイ」

私が目にしたのは、頭部だけが失われ、手足を無造作に動かす不気味な物体でした。それは人間の大人のようにも見えました。私の頭の中には、自動車事故で頭部が吹っ飛んだ運転手のことしか頭にありませんでした。

「そ・・倉庫裏・・・」

私の口から出た言葉はそれしかありませんでした。それからどうなったか覚えていませんが、気づけば無我夢中で家の方角に走っていました。息を切らし、涙目になりながら怯えていた感覚だけが残っていました。

その後、両親の離婚が成立して私は母に付き添うことになりました。そして母方の祖父母の家に引越すことが決まり、この学校を去らなければならなくなりました。短い間でしたが、それなりにクラスの仲間とうまくいっていたように思います。

最終日、私はクラスと先生方に別れの挨拶を済ませた後に、もう一度倉庫裏の壁に浮き出ていたシミを見ることにしました。あの日、首無しの男が本当に私に声をかけたのか、もうわかりません。目撃して以来はじめて訪れることになります。

すると、あの壁のシミの浮き出た部分だけに、無惨な傷がつけられていました。それは爪で引掻いたような細い線が幾本もあり、まるでその頭部のシミを取り出そうとするような傷跡でした。

これは、あの首無し男の仕業だと、私にはハッキリわかりました。倉庫裏と答えた私の言葉通りに、首無し男も向かい、探していた自分の頭部だと気づいたのでしょう。しかし、それはただのシミであり、取り出すことはできません。

おそらく首無し男の正体はあの事故で亡くなった運転手でしょう。その後の調査では、事故は自殺の可能性もあるとされました。運転手が借金苦であったこともわかったからです。

未だに失われた頭部だけは発見されていません。あの首無し男はまだ小学校の倉庫裏あたりを彷徨っているのかもしれません。
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