ベルゼブブ
旧約聖書と新約聖書に登場し、またその後の人間界に度々混乱を起こしとされる悪魔ベルゼブブ。この悪魔は地獄のサタンに次ぐ力を持った悪魔と知られていますが、その容姿は醜い巨大な蠅と伝わっています。一説にはヘブライ語のベルゼブル「気高い神」が転化してベルゼブブ「糞山の神」という意味に置き換わったとされています。本来ベルゼブルは、カナンの地に住むペリシテ人にとって豊穣を司る神でしたが、その地に入植してきたヘブライ人によって邪教神へと変化したとも言われます。
ヘブライ人たちは、のちのユダヤ教を確立して旧約聖書を編みます。ユダヤ教は一神教であるため、他の神の存在は許されませんでした。そのため他民族の神を悪魔という形で伝え、ベルゼブルをベルゼブブと転化したのかもしれません。
ベルゼブブは豊穣を司る神から悪魔信仰を誘惑する悪魔と化します。また人間の聖職者に性的欲望を促し、争いや嫉妬心を植え付ける悪魔となります。そして、いつしかベルゼブブは「蠅の王」と呼ばれるようになります。