絶対に行ってはならない!!遭難者の道を塞ぐ死者の忠告

実話怪談
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2018/08/27
怪談
これは私が夏の山で体験した出来事です。私の住む地域には有名な山があります。私は、久しぶりに山の上から夕日を眺めたいと思いました。そこで車を走らせ、秘密の場所に向かいます。

休みの日には登山客などで埋め尽くされますが、地元の人間は人の訪れない隠れたスポットがあることを知っていました。それはハイキングの道筋から外れるため禁止されていますが、地元の若い人たちはデートでよくそこを訪れていました。私も若い時はよくそこに彼女を連れて行っていました。

しかし、大人になってからはその場所に行くことはありません。危険な場所でもあって迷惑が掛かると思ったからです。今考えれば、若い時の自分は怖いもの知らずだったと振り返ります。何の気の迷いかわかりませんが、突然あの場所に行ってみたいと思ったのです。

山の途中で車から降りてしばらくハイキングコースの道を歩き、そこから木々の生い茂る道なき道を進みます。そこから数分で見晴らしのよい開けた場所に行きつきます。

その場所は今も健在でした。設備も舗装も何もされていない場所ですが、広々と辺りを見渡せるほど開けています。到着すると、そこには男女2人の先客がいました。彼らは若い恋人同士のようでした。

私が到着するとちょうど夕日が沈む頃でした。その場にいた私たち3人は、綺麗な夕日を眺めました。夕日も沈み辺りが暗くなった時、気づくとその2人のカップルはどこにもいませんでした。私が夕日に見惚れていた隙に、カップルは忽然と姿を消していました。

少し奇妙な感じもしましたが、辺りが暗くなるとさすがにまずいと思ったので、私は車の場所まで急ぐことにします。しかし、同じ道を戻っているはずなのになかなか到着しません。気づいた時には完全に道に迷っていました。
何度も訪れた道を間違うはずはないと思っていましたが、行けども行けども森の深くに迷うだけでした。私はその場にへたり込み、朝が来るのを待つことにしました。幸い季節は夏で凍え死ぬ心配はありません。私は体力を温存するため、その場で眠ることにしました。

夜も深まった頃、私が目覚めると、あの2人のカップルが目の前にいました。彼らも道に迷ったと思いましたが、様子がおかしいことに気づきます。よくよく見るとその2人は冬用の厚ぼったい服を着用していました。この暑い季節にはそぐわない服装でした。

私はこの2人がこの世のものではないと感じました。2人は私に声をかけることもなく、ただじっとその場に立ち尽くしていました。恐怖はありましたが、不思議と逃げたいという思いはありませんでした。

私は声をかけるようと近づきますが、2人は私を拒むように鋭い目つきをします。しかし、それ以上は何もしません。その場を動かず私は夜を過ごし、また深い眠りへと落ちていきました。

翌日、目覚めると2人の姿はありません。私は2人のいた場所に近づくと、すぐそこは崖で前に進むことはできませんでした。崖の下を覗くとそこには2体の白骨遺体がありました。冬の厚着で、1人は女性物の服装でした。

どうやら私が見た2人は、ここで命を落としたカップルだったようです。この秘密のスポットに足を踏み入れて道に迷い、崖から転落したのでしょう。誰にも気付かれずにいたところ、私と出会って自分たちと同じ過ちを繰り返さないように崖の手前で私を止めてくれていました。

その後、警察によって2体の遺体は無事に回収されました。事故として処理された後に、親族の元に引き渡され、葬儀も無事に済みました。

私も彼らの葬儀に参列しました。その際に彼らの友人に話を訊くことができました。2人は結婚を誓いあった仲のようで、結婚式も控えていたようでした。しかし、彼らは道を踏み外し、永遠に結ばれることはなくなりました。

私には命の恩人である彼ら2人が、静かに眠ることを祈るしかありません。