とにかく逃げて!?次々に襲い掛かる不幸の原因は元妻にあった!?

実話怪談
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2018/08/29
怪談
その時期、私は仕事の疲れが溜まっていたこともあって妻との喧嘩が絶えませんでした。私たち夫婦は結婚六年でしたが、子供もおらず2人の仲は冷え切っていました。お互いに愛情は感じられなくなっていました。

ある日から妻はほとんど家に帰らず、戻りませんでした。妻は仕事と言っていますが、私と顔を合わせたくない口実ということは十分わかっていました。

私はベットに入ります。すると夢の中で、見ず知らずの女性が現れました。私より若く、非常に美しい女性でした。彼女はただ私を見つめるだけで何も語ろうとはしません。

翌日、目覚めると彼女の映像が頭に残っていました。彼女がどこの誰かもわかりませんが、もしかしたら一度は街ですれ違ったことがあるのではないかと考えました。しかし、よく行く喫茶店や電車内を見回しても彼女はいませんでした。

途方に暮れていた頃、また彼女が夢に現れました。夢の中の再会に私は喜びましたが、彼女の表情はそうではありませんでした。顔を俯かせ、悲しい表情でした。

私が心配していると彼女は顔を上げます。すると一言だけ私に向かって言葉を発しました。それは「逃げて」の一言でした。突然の発言に私は状況を把握できませんでした。

「逃げるってどこへ?誰から?」

私が訊ねても彼女はそれ以上の言葉を発しませんでした。不思議に思っていると彼女は消えてしまい、私はそのまま目を覚まして朝を迎えました。しばらく彼女の発言が脳裏から離れません。

その日から彼女は私の夢に現れなくなりました。しかし、同時に現実世界で彼女の姿を見かけるようになりました。テレビの映像から見詰める彼女の姿があったのです。それは私しか見えない彼女の姿でした。

テレビだけではありません。勤務先や電車内などでも彼女を目撃するようになりました。好意を持っていた女性ではありましたが、段々と不気味に思えてきました。彼女に見張られているような感じに圧迫感を覚えてきたのです。
そして、私の不安が現実となったのは、ある日の通勤ラッシュ時、駅のホームで電車を待っていると、後ろから強い力で押される感覚に襲われました。大事には至りませんでしたが、少しでもタイミングが悪ければ私は電車に轢かれて死んでいたことでしょう。これが彼女の仕業と考えると恐ろしくてなりません。

この電車の一件に限らず、奇妙な出来事は続きました。横断報道を渡っている時も、猛スピードで走行する車に轢かれそうになりました。また、工事中の建物を通り過ぎようとすると、上から機材が落下するという場面にも出くわしたのです。

幸いどれも怪我はなく無事に済みましたが、そうした場面には必ずあの女性が遠くから私を見詰めていました。もはや身の危険を感じた私は、しばらく外に出られなくなりました。

一週間ほどして、妻が私に離婚の話を切り出しました。私の様子がおかしくなったことがキッカケではありましたが、元から冷め切った関係に終止符を打つため、我々は離婚を決意しました。

それからしばらくして私は会社に復帰します。会社は私のストレス過多が原因と判断し、特にお咎めはありませんでした。離婚して1人になったことで私も精神的ゆとりが生まれ、これまでの不幸の連鎖が嘘のように消えていきました。

そして同時に彼女の姿も見えなくなりました。私に付きまとっていた彼女は、夢の中でも現実世界からも消えてしまいました。

それから5年後、私は新しい恋人と結ばれ、結婚しました。仕事も順調に出世し、これまでのことが嘘のようでした。そんな時、ある知らせが私のもとに飛び込んできました。

それは、元妻が殺されたという知らせでした。元妻は私と離婚後に別の男と再婚したようですが、その男に殺されたというのです。実は5年前からすでにその男と不倫関係にあったよう、当時は相手も既婚者でした。

私のところにも警察が着ました。話によると、その男は気性が荒く、日常的に暴力を振るう男でした。男は自分の妻を殺し、そして私の元妻も殺したというのです。

警察はその男の妻だった女性の顔写真を見せてくれました。その人は私の夢の中に現れたあの女性でした。警察の話では、5年前に私の元妻と不倫関係になった際、邪魔になって殺されたそうです。

その後、男は私の元妻と結婚しました。しかし、夫婦仲はうまくいかず、相変わらず暴力を振るい、遂に前妻と同じく殺してしまったのです。警察も2件の殺人の容疑から男を逮捕しました。

その後の調べで5年前の事も明るみになりました。なかなか私と別れない妻に見切りを付けさせるため、私を殺そうとしたという事実がわかりました。私を待ち伏せして、事故を装って殺そうとしたことが何度もあったそうです。

5年前に起こった奇妙な出来事の犯人は、夢の彼女の仕業ではなく、元妻の不倫相手だった男の仕業でした。彼女が私の夢に現れたのは、その危険を知らせる為でした。その時点で彼女は男に殺されていたのでしょう。

現場で私が彼女を目撃したのは、私を襲うためではなく、私を助けるためでした。警察の調べで2人の遺体は山奥で発見され、男はすべてを自供したそうです。

私は5年前に命を救われた身として、彼女の墓参りをすることにしました。そこにはあの悲しげな彼女の姿はありませんでした。