いるよ!!いるよ!!
小林玄さんが学生の頃の話です。小林さんの住む地域で有名な心霊スポットがありました。栃木の国道沿いに設置されている電話ボックスに幽霊が出るという噂でした。夏休みに入っていた小林さんと先輩たちは、その噂の真相を確かめようとします。
小林さんと数人の仲間たちは、先輩の車に乗って国道沿いの電話ボックスに向かいます。出発からカメラを回し続ける仲間たち。はじめは、一部始終を撮影して幽霊を撮ってやろう、というような遊び感覚でいました。
そして、田舎の田んぼにポツンと置いてある電話ボックスに到着します。すると、仲間の一人の女性が突然騒ぎ出します。
「いるよ!!いるよ!!」
霊感の強いその女性は敏感に何かを感じ取ります。その異様な雰囲気に、小林さんと仲間たちもだんだん恐ろしくなっていきます。そこで電話ボックスから離れた位置に車を停めて、車内から外の様子を撮影することにしました。
撮影を続けていると、車内にいる仲間の一人から提案します。
「あの電話ボックスからポケベルを打ったら変なメッセージが来るかもよ」
興味本位での発言でしたが、皆が賛同します。そしてジャンケンで負けた一人が、電話ボックス内に入ることになりました。そこで一人が選ばれ、車から出て電話ボックスに向かおうとしますが、
「やっぱ、やめるわ」
そう言って車の中に戻って来てしまいました。それほど電話ボックスの周りは異様な雰囲気に包まれていたのです。結局、誰も近づくことはできず、車はその場から離れます。
青白い煙が女性の形に!!
後日、撮影した映像を小林さんたちは見直します。当時はVHSテープだったため、画像は荒く音声もよくありませんでした。映像は電話ボックスの場面に差し掛かります。そこには、電話ボックスの四面ガラスに青白い煙のようなものが映し出されていました。煙はだんだんと人の形に変化していきました。そして、ドレスを着た女性へ姿が現れます。
小林さんたちはその映像に驚愕します。このような光景を現場では見ることがなかったからです。映像で見返して、はじめて気づきました。
煙で形作られた顔は、ハッキリと女性と分かるものでしたが、目鼻が窪んだガイコツの姿で映っていました。
小林さんが唖然としていると、映像が突然鮮明になります。それは電話ボックスに行くのを辞める瞬間が映し出されていました。雑音混じりの映像はクリーンに映り、音声もハッキリ聞き取れるほどです。
すると、かすかな音が聞こえてきました。
「こないで…」
女性と思われる声が残っていました。その直後、画面は砂嵐になりました。
小林さんたちは、怖いを通り越して唖然とするほかありませんでした。
男の顔が張り付いてる!!

おかしな出来事はこれだけで終わりませんでした。
事件の翌日、一緒に行った女性が、大けがをしたという理由で学校を休みました。それは霊感の強いあの女性でした。仲間と電話ボックスを撮影して帰ったその夜、彼女の身に異変が起こりました。
自宅に帰宅した彼女は、お風呂に入りました。髪を洗っていると、なぜか寒い風を肌に感じます。窓は閉められていたと思っていた彼女は、急いで窓を閉めようとします。
しかし、彼女はシャンプーの泡で目を開けられない状態でした。それでも窓を閉めようと、少し上の位置にある窓を閉めようとします。しかし、何回やっても開いた窓は閉まりませんでした。
目に泡が入るのを覚悟してゆっくりと目を開けて、窓の方を見ました。そこには男の顔が窓にありました。それは窓を覗いていたのではなく、顔が窓に張り付いているような状態でした。
拍子に、お風呂場の入り口のドア側に倒れこみ、ガラスを割ってしまいました。幸い彼女は腕を切っただけで済みましたので、大事には至っていません。
彼女の話では、窓には網戸も閉まっていたから、顔が窓の上に乗っかっているようようだった、と語っています。窓に男の顔があったから窓が閉まらなかったようです。
映像に映っていた女性と風呂場に現れ男性に、何か共通するものがあるのかもしれません。しかし、それは誰にもわかりません。
その後、女性の映っていたVHSテープもいつの間にか紛失してしまいました。現在、どこに行ったのかわかっていないそうです。
参考サイト:
YouTube