『日めくり怪談』出版記念!吉田悠軌さんにインタビュー!!この世界とは違うもう一つの世界(2ページ目)

書籍 とうもろこしの会 吉田悠軌 インタビュー
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潜入取材
画像: 日刊Ranpo

“語り手の視点”に統一

会場:書泉グランデ/画像:日刊Ranpo

——今回の新刊『日めくり怪談』(集英社)はどういったコンセプトで書かれているのでしょうか?——

吉田:『日めくり怪談』は、これまでの実話怪談の書籍とは違って小説などの文芸寄りの形式で書くように心がけました。担当編集者さんとの最初の打ち合わせで、完全創作でもなく実話・ルポルタージュでもないものを作りたい、という要望を頂きました。
コンセプトとしても、完全な実話というよりは小説の形式を強めています。これまでにも実話怪談の書籍をいくつか出していますが、今回はまた新しい手法を採用しています。

——新しい手法というのをもう少し詳しくお聞かせください——

吉田:『日めくり怪談』では、7月から8月末まで一日一作の全62話が“一人称一視点”の語り口で収められています。実話怪談を扱った書籍でも体験者の語りのみで進む話もありますが、一般的にはルポルタージュ風、三人称一視点のものが多いです。今回の本ではすべての話が、“語り手の視点”に統一されています。

怪談にもいろいろありますが、完全な実話でもなく、創作でもない「どこからどこまでがホントかな!?」という所を残すと、読み手の想像を刺激するので、話に膨らみが出ます。『日めくり怪談』も、体験者から取材した話を元に、実話怪談と創作の間で書かれています。いろいろな差し障りがあって、実話のままでは書けなかった話を、地名や時期、シチュエーションをずらすことで、初めて出すことができた話もあります。長年取材をしてきた怪談でも、これは言えないな、書いちゃ駄目だな、という部分がある話は、実話怪談としては出せないので、お蔵入りになっていた話も多いんですよね。今回の収録作の中でも、かなり実話そのままに着地させている話もあれば、核になる部分以外は相当改変を加えた話もあります。

また、実話怪談の形式では、作家の語り口や主観をあまり反映させすぎてはいけませんが、今回はあえてそこをずらした語り口にしています。文芸の手法を取り入れたことで、視点人物の感情、不安であったり恐怖であったりを、少し踏み込んで書けたのではないかと思います。

不穏な日めくりカレンダー

——日めくりカレンダーの暦にはどういった趣向を凝らしたのでしょうか?——

吉田:本のコンセプトのひとつとして、昔の家にあるような一日一枚ごとにめくるカレンダーの体裁を意識してデザインしてもらいました。標語や干支、月齢、暦注下段などを盛り込みましたが、実際には存在しない暦となっています。

また、ワンフレーズの不吉な言葉を並べた標語も、それぞれの日付に入る怪談とはわざと乖離させていますので、違和感のある作りとなっています。
暦は、特定の意味合いを持つものばかりが繰り返されます。月齢も実際の図版とは異なります。こうした日めくりカレンダーの、不穏な雰囲気を楽しんでもらいたいですね。

——『日めくり怪談』を読む方に伝えたいメッセージはありますか?——

吉田:本書に限ったことではありませんが、大まかな楽しみ方としては、この世界とは違うもう一つの世界に触れる時の恐怖・ワクワク感・面白さを感じ取ってもらえればいいですね。一日一話、5分だけでも、ここではない世界を感じて、ちょっとゾッとしたり、驚いたりしてもらいたい。そうした想いから全編書いています。

今回の『日めくり怪談』は、ストレートな実話怪談でもなければ、完全な創作でもありません。「これってもしかして……?」というような、虚実入り混じった話ならではの楽しみ方を、読者の方に見つけてもらえたらと思っています。

——最後に、吉田さんの今後の活動展開について教えてください——

吉田:今後もストレートな実話怪談を書くと思いますが、やや都市伝説寄りの話や、少しニュアンスの変わった実話怪談などもやっていきます。
怪談とは狭い意味での「実話怪談」だけではありませんから、そうした怪談の可能性をいろいろ探っていきたいと思っています。

日めくり怪談


出典:よみタイ

『日めくり怪談』
【著者】:吉田悠軌
【定価】:本体1200円+税
【販売元】:集英社
【購入】よみタイ

<イベント開催店舗>
書泉グランデ
【住所】東京都千代田区神田神保町1-3-2
【営業時間】10時~21時(土日祝は10時~20時)
【HP】書泉グランデ
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